ストーリー
「そっか。あ、健太郎送ってたげたら?」


一緒に葬儀場へ来ていた健太郎へ向けて、あたしは言った。


「え、俺?」


健太郎は戸惑った様子であたしと明日香を交互に見ている。


「健太郎も、今日はもう帰るんでしょ?」


葬儀場に来る前に、今日は用事があるから家に帰ると聞いていた。


「まぁ、そうだけど」


そう言って頭をかく健太郎。


なにか不都合でもあるのか、あまりパッとしない返事だ。


「あたしなら、大丈夫だから」


明日香があたしへ向けてそう言った。


「本当に?」


「うん。バスに乗って帰るだけだから、心配しないで?」


「そっか。じゃあ、無理しないでね」


あたしはそう言い、1人で帰って行く明日香を見送ったのだった。
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