愛のかたち
そしてその後わたしは事務所でCDの感想などをポップに書いて陳列する準備をしていた。

沢村さんに会いたくなかったから事務所にこもって店長と話しながら作っていた。

店長は今日はご機嫌だったらしく、やたら話しかけてきていた。

この店長は感情の起伏が激しくてちょっと機嫌悪いと相当厄介。

わたしの勘だと家庭の事情で色々感情の変化が起こってるのだと思う。



仕事も終わり、ちょうどあがる時間になったのでわたしは店長に先に挨拶をしてカウンターに行くことにした。

もちろんわたしたちより先に来ていた沢村さんはもう帰っていた。

沢村さんがあがるときに店長もいる事務所に挨拶に来なかったところを見ると孝浩くんは付き合ったことを話したのだろうとわたしは思っていた。

きっと、わたしの顔を見たくなかったから店長にも挨拶に来なかったんだ。



カウンターに行くと孝浩くんが

『終わった?あがろっか。』

と言ったのでわたしたちは一緒にあがることにした。



『言った?沢村さんに。』

『うん。付き合うことになったって言った。そしたら”よかったわね。”ってだけ言ってどっか行ったからそれ以上は何も話してないけど。』



わたしはそっか。とは言ったものの、その孝浩くんの言葉を聞いてちょっとビクビクしていた。

わたしも勝気なほうではあるけど、沢村さんには勝てない。

あの人はお局様というより、ヤクザの娘じゃないかというほど貫禄がある。



明日のバイトがまた更に憂鬱すぎる・・・。
< 103 / 386 >

この作品をシェア

pagetop