愛のかたち
みんなに挨拶をしてわたしたちは歩いた。

雨上がりの冷たい風が頬に冷たくあたっていた。

わたしたちは30分間、学校のこと、友だちのこと、バイトのこと、たくさん話した。


『咲貴ちゃん見たとき、あーすっげー綺麗な子きた・・。ってビックリしたよ。』


俊くんはお世辞、社交辞令、どっちとも言える言葉を家の近くで最後に言った。

『わたしも俊くん見たとき、かっこいい人いるなって思ったんだよ。』

わたしもお世辞、社交辞令、どっちとも取れる言葉で返した。

中身のない会話かもしれないけど、こういう時ってこう返すのが正解のような気がして。


30分なんてあっという間で、家に着いたときに番号を交換してそのまま来た道を帰って行く姿をわたしは家の前で見ていた。


家に入ると大学生のお姉ちゃんがけだるそうにタバコを吸いながら

『おかえり。』

と言った。

わたしはお姉ちゃん2人と3人暮らしで、両親は東京に仕事で行っている。

1番上のお姉ちゃんが成人しているということもあり、わたしたちは3人で暮らすということを許可された。

ほんとうは家族大好きの両親だからわたしたちも東京に連れて行きたかったらしいけど全員が断固拒否した。

東京は憧れるけど・・・なんかヤダったもん。

そのおかげで好き勝手やることができるしね。



『理沙ちゃん、禁煙じゃなかったっけ?』

わたしはお姉ちゃんが2人いるから名前でちゃん付けで呼んでいる。

理沙ちゃんは2番目の姉で今大学1年の2こ上。

1番上は5こ上で大学4年生の知香ちゃん。


知香ちゃんも理沙ちゃんもほんとにキレイで美人女子大生って感じだ。

わたしの憧れの2人でもある。
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