愛のかたち
友美は横からコッソリ幼稚園児のを選んでいた。

『わたしの背とかキャラならこれしかないんだもーん。』

と自分にあてて帽子をかぶったりして、もうなりきっていた。

『友美もウエイトレスするの??』

わたしは理解に苦しむような言い方をすると

『咲貴がするならわたしもするもん。』


と笑顔で言った。


『あ、ありがとう・・・。』

申し訳ないような気持ちだったが、ウキウキしている友美を見て前言撤回。

こいつは着たいだけだとすぐに理解した。

物好きすぎるし・・・。

それにしてもミスコンにコスプレ。

だるすぎる・・・。


これがわたしの本音だった。



廊下で拓海に会い、そのことを全部言うと笑っていた。

『お前、去年も散々だったもんな!!今年は俺がちゃーんとミスコンに1票入れてやるからアリス衣装でミス流星なれよ。』

その言葉にわたしは膨れっ面で拓海の胸を軽くグーで殴った。



この日、バイトは孝浩くんが休みで4人だった。

『流星の学園祭って今月の3週目の土日でしょ??』


わたしが返却商品を戻してると横から俊くんが話しかけてきた。

『うん、そうだよ。超やだ。』


あの初日以来、俊くんに言い寄られるようなことは一度もない。

というより、本当にあの日の言葉は本当なの?ってくらい普通。

自分から話をふることもわたしは絶対しないから、もう気にしないでいた。


『なんで嫌なの?』

『・・・ミスコンとコスプレ。』

わたしはボソッと言って嫌そうな顔満開な表情をしていた。


『絶対行こ~っと♪』

だめっ!!と言う間もなく俊くんはすぐに立ち去って行った。
< 142 / 386 >

この作品をシェア

pagetop