愛のかたち
天気は快晴。

長袖のジャージと短パンを身にまとい、わたしはグラウンドでだるい校長の挨拶を聞いていた。

朝方は冷えるので手をジャージの中に入れ、精一杯下までジャージの裾を伸ばしていた。



孝浩くん、結局来るって言ってたな。

あ~ドベだったら恥ずかしいよ。

あ、拓海に孝浩くん紹介しちゃお。



挨拶している校長の話なんて全く耳に入れず考え事ばっかりしていた。

胸には【ミスコン出場者】のリボン。

これのせいで相当目線集まり、相当うざい。


体育祭って暇。

走ってるのを応援なんて仲いい子くらいで大概は写真撮影したり、喋ったり、他校生と話したり。

わたしも友美と話したり、顔見知り程度の人から写真を頼まれて撮ったりというのの繰り返し。




『おい、咲貴。』

振り返らなくてもすぐにわかるこの声。

拓海だ。

『何ー??』

『知香と理沙は??』

『理沙ちゃんはどっかの学祭行くって言ってて知香ちゃんは知らないけど来ないよ、多分。』

そう言うと拓海はな~んだ。と言って去って行った。

知香ちゃんと理沙ちゃんに何の用かはわからないが、拓海が2人のことを聞くのはいつものことなので気にならなかった。


『新垣さん!!高山先輩と知り合い!?一緒に写真撮りたいんだけど・・』

クラスメイトの遠まわしなお願いにわたしは

『拓海ー!!』

呼び止めて写真撮影のセッティングをしてあげた。


なんでこいつがモテるんだろう。

サッカーが上手いだけとしか思えないので謎だった。

前好きだったけど、それは小さい頃の話。


今、こいつのかっこよさがわからない。
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