愛のかたち
『俊、わたしバイクで来てるんだ・・・。』


『はぁ!?まじかよ・・・お前車の免許はないもんな。じゃあ気をつけて帰ってこいよ?』


そう言うとまた車の鍵を閉めわたしをバイクのところまで送ってくれた。



バイクで運転中、夕方になるとさっきの日差しが嘘みたいに思えるくらい涼しくなった。

やっぱり秋の到来を感じた。


途中、スーパーで買い物をして帰るとやっぱり家に先に俊は着いていた。




『ただいま。』


玄関を開けるとそこにはさっき別れたはずのお父さんとお母さんの姿が。


なんで・・・???



『咲貴、ちょっとおいで。』


俊がわたしをチラッと見て呼んだ。


買い物をしたものを床に置き、わたしは横にチョコンと座った。



『お前たちの本音はわかった。お前たちが帰った後、母さんと話して交際は認めることにした。だけど大学には行ってもらう。この地元でも構わないからちゃんと大学を4年卒業しなさい。それが付き合いを認める条件だ。咲貴さんは悪い子でもないし、しっかりもしている。大切にしてあげなさい。』



これだけ言うとお父さんは立ち上がり、それに連なってお母さんも立ち上がった。


『父さん、大学行きたくないんだけど。』


『大学に行けばここの家賃と生活費を振り込む。不自由しないくらいのな。学費も出すから行きなさい。そうすれば他は何も言わない。』


『・・・考えとくよ。』


俊の答えはきっと決まってると思う。

ただすぐに従うと言いたくなかったんだよね。


お父さんもそれに気付いてたのかな。

フッと笑うような仕草を見せて帰って行った。

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