愛のかたち
帰ってからわたしは原口さんにメールを入れた。

原口さんの連絡先は知ってるけど、バイト以外の用件で連絡することは初めてだった。


【今日は本当にありがとうございました。いい夏の思い出になりました。また明日からバイト頑張りましょう。】


ほんのお礼程度だが、本当に楽しかったしいい思い出になった。

原口さんと出かけるなんてことは一生ないと思っていたから。


その1分後に携帯が鳴った。

音楽がバイト関係のグループの音だったので原口さんだと思った。


返事早っ!!!

メールを見てみると、わたしの送ったメールがそのまま返信されていた。

意味がわからず返事をしようかしないか迷ったが、やはり返事をするとわたしが返事を強要してるような感じで取られそうだと思い、放置しておいた。

すると5分後くらいにまた携帯が鳴って見るとまた原口さんからで

【ごめん、さっきの間違えた。俺も今年初の花火だったしテンションあがった。また機会があったらよろしく。】

このメールを見たときはなんかメール間違って焦った原口さんの姿が思い浮かんでちょっと笑えた。

機会があったらだなんて・・・。

機会・・なんかありますよ~にっ!!!!



そして理沙ちゃんが下からわたしを呼ぶ声がした。

あまりに大声だったのでなにかと思って下に行くと拓海とその弟の陽司が来ていた。

陽司はわたしの1こ下で近くの男子校に通っている。

『おー久々。』

テーブルの上にあるマンゴーに目がいきそれに気付いた拓海が

『陽司の沖縄土産。』


陽司のやつ、生意気に沖縄なんて行きやがって。

でもマンゴーを買ってきてくれたので笑顔で3人でお礼を言った。

後々聞いたけど、理沙ちゃんも知香ちゃんも同じことを思っていたらしい。

そしてそのマンゴーを知香ちゃんが切ってくれたのでその夜みんなで食べた。

すごく甘くジューシーなマンゴーだった。


拓海は足のケガも治り、順調にエースぶりを発揮してサッカーを頑張っているらしい。

でも彼女にフラれたらしく、理沙ちゃんと知香ちゃんに励まされていた。

わたしはその姿を見て

『情けなー。早く立ち直りなよー。』

と冷たく言い放っていた。
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