愛のかたち
そんなことを話してると2人が戻ってきた。


『友美ちゃん、ちょっとあっちのほうに行かない?』

戻ってきてすぐなのに、拓也くんが岩場のほうを指差しながら言った。



わたしはすぐに原口さんとわたしを2人きりにするためだろうと思った。

わざとらしさ満点だけどわたしが原口さんの気持ちを知ってる以上、隠すこともないだろうから言ったんだろうな。

友美も空気をよんで行くと言い、2人で岩場のほうに何も言わず歩きだした。


わたしたちはしばらく黙っていたが原口さんが切り出した。

『昨日言われたばっかりだったってのに俺が今日言って混乱させたかもね。ごめん。ゆっくり考えていいから。待つし。』

わたしはそれに黙ってコクンと頷いた。


しばらく無言でわたしたちは海を見つめた。

はしゃいでいる人の姿、1つの浮き輪にギューギューになってまで入って密着しているカップルの姿。

見ないようにしているのになぜか見つけてしまう俊くんの姿・・・。


1人でいるのに女の子に話しかけられたりしていた。

でも相手にしているような様子はなかった。


それに原口さんが気付いているのかはわからないけどずっと黙ってた。

原口さんが沈黙の間にタバコに火をつけたとき、わたしは沈黙を破った。

『原口さん、いつからそんなふうに思ってたんですか?』

相手にされるはずがないと思っていたのに・・・。


原口さんは恥ずかしそうに頭をかきながら

『結構前だよ。今年の初めくらいかな。新垣ちゃんが彼氏と店に来たときにショックで。それで俺、気になってたのかなって思ってさ。それからはズルズル。俺そんときは高校生だったけど今は大学だから相手になんてされないと思ってたけど告白すれば吹っ切れるかと思って。』

わたしは今年の初めくらいに当時付き合ってた彼氏とバイト先に行ったことがあった。

そのとき原口さんが割引してくれたのを思い出した。

その彼氏とはその後、別れたけど。


そのときから・・。

わたしのほうが相手にされないと思ってたのに逆だったなんて。。
< 78 / 386 >

この作品をシェア

pagetop