愛のかたち
わたしは何も言わず、原口さんの左側に座った。

原口さんはおかえり。とだけ言ってタバコの火を消した。


『あの2人、何見てるんでしょうね。』

わたしは友美と拓也くんのほうを見て、笑いながら言った。

『カニかイソギンチャクってところだろ、たぶん。』

原口さんも笑いながら言った。



『原口さん、さっきのこと。やっぱり時間もらっていいですか?ちゃんと考えます。』

わたしは原口さんの方を見て言った。

原口さんはこっちを見てわかった。と言ってくれた。

俊くんと話していたことだって気になっていただろうけど、原口さんは一言もそのことについて触れてこなかった。

言いたくないということがわかっていたかのように。



暫くして2人が戻ってきたのでわたしと友美はシャワーを浴びて着替えて拓也くんの車で音楽をガンガン鳴らして帰った。


俊くんは夜電話するという約束を守って電話をしてきていたようだけど、わたしはちょうどお風呂に入っていたので出ることができなかった。


かけなおすのが普通だけど、何を話せばいいかわからず、気まずい言葉を聞きたくなかったし、流されたりするような気もしたのでそのままかけなおさなかった。



長い、激動の2日間が幕を閉じた。
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