わたしの願い


「てかやばい、わたし今日日直だからはやくいくんだった!!」


「もう、昨日朝早いっていってたからこれ用意しといたよ」


そういってお母さんが遥にいつも持っていくランチバックとは別に小さいトートバックを渡した。


「おにぎりとフルーツ入ってるから、ちゃんと食べるのよ」


「ありがとう!学校で食べる。いってきます!」


「いってらっしゃい」



バタンと扉が閉まって遥の姿が見えなくなった瞬間、さっきまで笑っていたお母さんとお父さんは真顔に戻り、ごはんを食べ始めた。



いつもこうだった。


遥は親から愛されていて、わたしは相手にされない。



「あなたもいかなくていいの?」


そして、名前で呼ばれることさえなくなった。



「うん、そろそろいくね。いってきます」


遥がいくときは笑っていってらっしゃいと返していた2人の声は聞こえなくて、でもこれももう慣れた。

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