ねぇ、僕じゃダメ?
僕の思い通りにいくわけもなく、説得するもあえなく撃沈。

実可子の押しに根負けし、結局、桃田さんの勤める式場に決定した。

これから3ヶ月以上も、頻繁に顔を合わせることになるとは。

弾みでボロが出ないようにしないと。


電話で次回の約束を取り付けることになり、何故か僕が連絡するはめに、、、

まあ、別にいいんだけど。

だけど、電話ひとつで手が震え、緊張しすぎて喉が苦しい。

なに、、、やってんだ?

ただ、予約をとるだけなのに。

「はあ、、、まったく、ガキかよ。」

独り言を吐き出して、深呼吸した。

二度のコールで桃田さんの声が聞こえた。

「はい、桃田です。」

「あの、鈴成です。次回の予約をしたくて、、、」

「ありがとうございます。精一杯努めさせていただきます。」

初めて聞く、電話を通した声。

耳が熱い。






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