可愛がりたい、溺愛したい。



「ほら、そこの2人。特に中本さん!
今はホームルーム中ですよ。喋っていないで前を向きなさい」


教卓に立つ先生の指摘で会話は遮られた。


正直、答えづらいことを聞かれたのでタイミング的にちょうどよかったかもしれない。



明日香ちゃんが前に向き直ってホームルームが再開。



「では、もうすぐ行われる体育祭の種目決めのほうをしていきます。

体育委員を中心にそれぞれ規定の人数を満たすように、話し合って決めてください」



もうそんな時期なんだ。

気づけば9月が終わって10月に入っていた。


夏の暑さがまだ残っているせいで、秋らしさをあまり感じない。



先生と入れ替わりに、体育委員である明日香ちゃんと花野井くんが教卓のほうへいき、種目決めが始まった。


わたしはあまり運動が得意じゃない。

特に走るのが苦手。


できればリレーとかは避けたいと思って、大人数が参加できる綱引きを選んだんだけど…。

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