可愛がりたい、溺愛したい。



何やらニヤニヤしながら楽しそうに会話に入ってくる。


「せっかくのお誘い断るなんて失礼でしょ〜?それに、最近浮かない顔ばかりで元気なさそうにしてるから、気晴らしに出かけてらっしゃい!」


こうして半ば強引に家を追い出されてしまい……。


「先輩どこか行きたいとこある?」


「えぇ…どこでもいいよ」


とりあえず駅まで向かって、これからどこに行くかを悩んでいるところ。



「……って、誘いに来てくれたのに行き先決めてないの?」


「思いつきでデートしようって決めたから何も考えてない」


思いつきって…。

そんな軽いノリでよく誘いに来たな…と心の中で思う。


「まあ、先輩と一緒だったらどこでも楽しそうだし」


少しの時間考えると、どこか行きたい場所が思いついたのか、急にわたしの手を取って


「行きたいとこ思いついた」


どこ?って聞く前に歩き出したので、行き先を聞くタイミングを逃したまま、電車を乗り継いで数十分。

< 220 / 360 >

この作品をシェア

pagetop