可愛がりたい、溺愛したい。
彼女になるとは。



「帆乃、起きて」


依生くんの彼女になってから数日。

いつもの朝が戻ってきた。


眠くて仕方ないのに、依生くんの声を聞けば自然と意識が戻ってくる。


だけど、やっぱり眠くて。



「ほーの」


なかなか起きようとしないわたしの頬を、指先でツンツンつついてくる。


「ん……、まだ眠いよ」


もう少しだけ寝かせてほしくて、わがままを言ってみると


「じゃあ帆乃が起きるまで好き勝手触っちゃうけどいーの?」


「……?」


「こんなかわいい寝顔見てたら我慢できなくなる」


ギシッとベッドが軋む音がしたとほぼ同時。


頬に軽くキスをされて、びっくりした反動で目を開けてみると


ベッドに片手をついて、身体を乗り出して触れてくる依生くんが見えた。


頬のつぎはおでこに、首筋。
いろんなところに依生くんの唇が触れる。


「く、くすぐったいよ……っ」


「起きない帆乃が悪いんだよ」

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