可愛がりたい、溺愛したい。



「こちらこそ。
帆乃先輩と過ごした時間たのしかったよ」


そのまま立ち去っていくのかと思いきや、2、3歩進んでから、「あ、そーだ」と何か思いついたようで、再び足を止めて。



「前にデートした時の帆乃先輩すごく可愛かったですよ。残念だなあ、せっかく可愛かったのに三崎先輩見てないんですもんね」


勝ち誇ったような笑みで、フッと笑いながら


「まあ、最後くらいは帆乃先輩のかわいいところ知ってるアピールしてもいいですよね」


そう言って、立ち去っていった。



残されたわたしたちの間では微妙な空気が流れていた。


「……生意気すぎてムカつく。
なに帆乃のかわいいところ知ってるって。
ってか、デートしたんだ?」


「あっ、えっと、それにはいろいろ事情がありまして…」


そもそもあれってデートって呼べるものだったのかな…なんていま考えなくてもいいことが浮かぶ。

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