可愛がりたい、溺愛したい。



依生くんが他人に興味を持つなんて珍しいなぁと思いながら答えると。


「……ふーん、桜庭葉月か。
あんまりいい噂聞かない男だね」


「え?」



「なんでもない、帆乃は知らなくていいこと」


「……?」


たぶんこれ以上深く聞いても答えてくれそうにないので、黙り込むと。


わたしの頭をポンポンと撫でながら。



「……帆乃は僕のだって見せつけてやらないとね」


いつもより、低くてしっかりした声に少しだけびっくりしながら、


そのまま依生くんの腕の中で朝を迎えたけど、全く眠ることができなかったのは言うまでもない。

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