好きになるには理由があります
「支社長、聞かれましたか?
杵崎さんも舞われるの」
ハンコをもらいに支社長室に行ったとき、深月が陽太にその話をすると、陽太は何故か強張った顔で、
「……聞いた」
と言う。
どうしてそんなに構えてるんだと思う深月の前で、陽太は重々しい口調で言ってくる。
「ついに、あいつも同じ土俵に上がってくるのか……」
いや、なんの土俵?
と思う深月の手を取り、陽太は深月の名を呼んだ。
「深月」
「はい」
「俺は勝つ」
だからなにに?
と思いながら、深月は陽太に握られているおのれの手を見る。