クール王子ととろける溺甘♡同居

なんなのよ……あれ。

全部覚えてるってどういうことよ。

二見くんは、何にも反省していないの!?

あの時はごめんとか、そんなの、ないんだ。

いや、謝られたって私は許す気なんてこれっぽっちもない。

許すなんて──────。

『明日、一緒に帰ろうよ』

『手、繋いでもいい?』

『小山、好き』

あの時の二見くんとの思い出が一斉に蘇る。

……そうだ。

こんなにずっと引きずって、許せないなんて思っているのは、あの日が怖かったからだけじゃない。

もちろん、怖くて怖くて震えた。

だけど、それは、

彼のこと、ちゃんと好きだったからだ。

初めて告白されて、初めて男の子にドキドキした。

二見くんは、紛れもなく、私の初恋だったんだ。

いっけん冷たそうに見える彼が、私の名前を優しく呼ぶたびにキュンとして。

帰り道、少し耳の先を赤く染めた彼に握られた手の温もりだって、本物だって信じていたから。

好きだったから、本気だったから、余計辛かった。

彼の顔色を伺ってる自分がいたのも事実だけれど、彼に恋をしてる自分もちゃんといた。
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