クール王子ととろける溺甘♡同居

フワッとふたたび希夜くんの香りが鼻をかすめたかと思うと、彼の細くて長い指が私の顎に添えられて、クイッとあげられた。

「希夜く────っ、」

思わず漏れた私の声がそれ以上外に発せられることはなくて。

代わりに、熱を帯びた柔らかいものが唇に触れたのと同時に、目の前は目をつぶった希夜くんの顔でいっぱいになる。

なに、これ。

これって──────。

頭の中は真っ白になって身体全体が硬直してしまう。

ゆっくりと唇に触れたそれが離れて、希夜くんと視線が交わった時、自分の状況をようやく理解して。

バクバクとうるさい心臓の音は、彼に聞こえているんじゃないと思うほど。

なんで、いきなり、キスなんて。

これも、克服のための一環?

「……嘘」

「えっ……?」

ボソッと呟かれた言葉に聞き返す。
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