藍と未来の一つ屋根の下
階段を降りる足音がして、また上がってくる音がした。

足音は未来の前で止まる。

カサッと音がして下を向く未来の頭に何かが当たった。

膝の上に落ちた「ルマンド」の袋を拾って、未来は藍に投げ返した。

「投げんなよ」

「先に投げたの藍じゃん」

「さっきの同じクラスのやつ」

「うん」

「 俺の家に来たいっつうから」

藍はもう一度未来のとなりに座った。

「あいつら第一小学校からだから、おまえのこと知らないんだよ」

「第二小の子は私と藍のことなんとなく知ってたもんね」

「おまえ彼氏できたの?」

「だから出来てないって言ってるじゃん」

ベッドに座ったまま未来は身体を倒した

「付き合ってって言われただけ」

「あっそ」

「藍はどうなの。彼女とか」

「ラブレターもらうよ」

「え!うそ!」

未来はベッドから跳ね起きた。

「小学校の時から。言ってなかった?」

「知らない!聞いてない!」

「声でけえよ」

「見せて」

「捨てた」

「えー!?ありえない」

「声でけえ」

「例えば誰!?」

今度は藍が座ったままベッドに仰向けになる。

< 19 / 148 >

この作品をシェア

pagetop