友達の距離じゃない【実話】
先輩が学校に行ってしまうのが嫌で

でも

「いかないで」

なんて言えなくて

でもやっぱりどうしても行ってほしくなくて

それで私は黙った。

下を向いた。

困らせてるのはわかってる。

迷惑かけてるのもわかってる。

でも

「嫌だ」

なんて言えないから

私にはこうしかできなかった。

これ以外に先輩にここにいてもらえる方法なんてみつからなかった。

私のほっぺをさわる手の温もり、耳に触れるたびにわかる優しさ、
私を撫でる手の感触、聞こえてくる先輩の声。

どれもこのままがよかった。

このまま感じていたかった。

肩の近くに手があった時
服があるはずなのに温かいのが伝わってきた。

ふと我にかえるたびに襲ってくる不安。
なんともいえないこわさ。

私たちは友達。
わかってる。
なのにどうしてこう思うの?
じゃぁ友達じゃなくなればいい?
きっとそうなれば話は早いんだろう。
それだけで片付くのだろう。
でも違う。
そうじゃない。
そうなりたいんじゃない。
友達でいたい。
なのになんで?

ねぇ
距離感ちかくないかい?
ねぇ
どうしてそんなにちかづいてくるの?
ねぇ
先輩をせめてるんじゃないの。
ねぇ
私はどうしたいの?

答えの出ない疑問に
昨日も、今日も、押し潰されそうで
きっと明日もこのままで。

先輩の温もりに触れない日が来るとかと思うと
それは少し寂しくて。

私は今

過去と同じことを繰り返しています。

先輩があの人と同じだと思ってるんじゃない。

そんなこと1ミリも思ってない。

でも、してることが同じなんだ。

だからよけいにこわいんだ。

ねぇ
好きなら好きだと教えて
ねぇ
どうすればいいか教えて
ねぇ
お願い

この闇から解放してください。
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