さよなら、Teacher
1.家庭教師
恵は、狭いワンルームのアパートで通帳を見ながら大きなため息をついた。

大学生最後の夏休み。
実家の仕送りも望めない恵は、勉強の合間にバイトにあけくれるしかなかった。プールの監視員のバイトをしていたが、それだけでは足りない。


そんな時、友人の未亜から、家庭教師のバイトを代わって欲しいと、頼まれた。


『 どうしたの、未亜。割もいいし、生徒の男の子もカッコイイなんて、はりきってたじゃない?』

『 それがさー、いっつも遊びに行ってていないんだよ。向こうの親も、なんていうか諦めててね…私もただ待ってるのに飽きちゃって。
あ、でも大丈夫。お金は払ってくれるから』


実際の金額を聞いて、渡りに舟とばかりに快諾した。
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