キミの運命の人は俺じゃない
思わず溢れだした涙に湊の動きが止まった。

「俺に抱かれたくない?」

わからなかった。
わからなくて首を左右にふった。
湊に触れられるのは嫌じゃない。
でも湊は私がほしい言葉をくれない。
優しく抱く彼が本物なのか幻なのか私にはわからない。怖くて私は何も聞くことができない。
それでも傷ついたような顔をする彼を責めずにはいられなかった。
私の方が傷ついてるんだと。

「どうして、湊は私を抱くの?

経験がない私があたふたするのが楽しいの!
自分好みになっていくのが面白いの!

私は湊のオモチャじゃない!

湊は全然優しくないよ!

虎太朗みたいに優しくないよ!

私は、葵を好きな虎太朗が好きなだけだよ!

虎太朗は友人として好きなだけだよ!」

泣き続ける私に湊は黙って家を出た。

私はすぐに荷物をまとめてふらつく足で湊の家を飛び出した。

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