できすぎる上司♂と不器用すぎる部下♀
「先輩、今日はお肌つるつるっすね。ネイルもしてるし。なんかいいことあったんすか?」
人懐こく桃に話しかけるのは隣の机の後輩。相川準一。28歳。
「別にありません。仕事に戻ってください。」
「絶対にいいことあったって顔じゃないですか。せっかくだし、ご飯いきません?」
くそまじめで非社会的な私を誘うのはあなたくらいと思いながらも桃はキーボードを打つ手をとめない。
「冗談が過ぎます。休憩じゃない時間に私語は控えた方がいいですよ。」
「はーい。」
準一は仕事に戻ったかと思うとふいに桃の耳元で囁いた。
「おしゃれはいいですけどいつもの先輩の方が俺はいいです。だって他の男にばれるじゃないですか。先輩、実はかわいいって。」
28歳のガキがなにを生意気に…。三十路女をからかうもんじゃない…と思いながら桃は仕事に集中した。
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