できすぎる上司♂と不器用すぎる部下♀
「今日すっぴんなんです!」
司の耳もとでそういう桃は顔が真っ赤だった。
「いい年してすっぴんが恥ずかしくてまともにお礼も言えなくて、本当にすみません。」
そんな桃の言葉に更に司がくしゃっと笑う。
「あははっ!桜木のそのギャップがすごいよなぁ。やられるわぁー俺。かわいいな本当に。」
司がまた桃の頭を撫でまわす。
「そんなの気にならないよ。心配はしたけどさ。ははっ。じゃあな。気を付けて」
司はそう言うと桃に手を振りながら反対側のホームへ向かい始めた。

遠慮がちに桃は手を振りながらその姿が見えなくなるまでその場から離れられなかった。
< 61 / 317 >

この作品をシェア

pagetop