拝啓 元カレ上司サマ

始まりの予感


気の置けない大親友とのひとときの後、沙穂の夫である菅原卓人が店の前まで車で迎えに来てくれた。

沙穂も麗香とのランチを楽しんだようで、車の中でパスタが絶品だっただとか、今度は買い物に付き合うだとか、嬉しそうに卓人に話している。

麗香は、この一年間で、沙穂達夫婦にまで心配を掛けていたのだと分かり、申し訳なく思う。

これからは、もっともっと自分の意思で色んな物事を片付けていかなければならないのだと、改めて考えさせられた。

そして、この親友夫婦のやり取りを微笑ましいと思う一方で、今の麗香にとっては望んでももう叶わない夢で、本当にもう宗也は居ないのだと痛感したのだった。







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