あなたが私を忘れても、私はずっとあなたを忘れない
小学校低学年の時のこと。その日は、朝は晴れていたのに、夕方になる頃には土砂降りの雨が降っていた。

「どうしよ〜……」

傘を持ってきていない私は、ただ下駄箱の前で立ち尽くすしかない。

しばらくすると、真っ黒な空にピカリと光線が走った。その轟音と光に驚き、私はその場に悲鳴を上げながらしゃがみ込む。

「……おばあちゃん……」

体を震わせ、私はおばあちゃんの名前を呟く。雷が鳴ると、いつもおばあちゃんに背中をさすってもらっていた。

そのシワだらけの手は、とても温かくて何よりも優しい。

おばあちゃんはいつも言っていた。

「おばあちゃんは、おばあちゃんになれてよかったと思ってるよ。だって、葵ちゃんに出会えたから」

震え続ける私の耳に、誰かが近づいてくる足音が聞こえた。顔を上げると、傘を持ったおばあちゃんがニコニコと笑っていた。

「おばあちゃん!!」

私は泣きながらおばあちゃんに抱きつく。おばあちゃんの体は、とても温かい。
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