Love Eater




ぐきゅうるるるるる~。

「っ!!!?」

「ぶはっ……あははすっげぇ豪快な腹の音だなぁ、おい」

「はっ?えっ?な、なんで?何これ何コレッ?何でお腹から音が鳴るわけ!?何の音っ!?」

「おー、パニクってるパニクってる~。そうか、腹減った事ないとか言ってたっけな?じゃあ腹が鳴るのも初めて聞いたのか?」

突然発生した聞き覚えのない音には握っていた拳を解いてあからさまに困惑する六花がいて。

その姿はまさに怯えた子猫の如く。

ビクビクソワソワ、何が起こったのかとソルトへの腹立たしさすら一瞬で忘れてしまったのだ。

しかも、どうにも今まで感じた事のない不快感まで腹部に感じるのだからして。

「な、なんか変っ!お腹変っ!なんかなんかキューって!」

「ああ、腹が減ってるって事だな。ってか、本当に腹減った事なかったんだな。……って、あはは、ほらまた一つだ」

「な、何っ!?」

「腹が減るってのは人間の欲の一つってやつじゃないのかな?」

「っ____!!」

「また一つ、『何もない』から遠ざかったな」

言われた事実はあまりに事実で。

自分の身に与えられた物や起きた変化には六花もとうとうカチンと硬直して言葉を失ったのだ。

そんな六花の姿に満足だと笑うのはソルトばかり。

それどころか、

「さぁて、折角出来たお前って器だ。どんどん足りねえもん詰め込んでいくから覚悟しておけよ~」

「っ~~~!!!」

まだ足らぬと言わんばかりに弾かれたソルト言葉は、ここに来てようやく六花の不安を買う事に成功したのである。

まさに、戦々恐々。



「もうヤメてぇぇぇ!!」



……なんて、

六花の嘆きは僅か十数分後の話。




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