Love Eater



言いようのない動揺を吸っていた煙草に逃して誤魔化していると。

「……体調は、」

「あっ?」

「なんともないの?いつも通り?」

「……例えば?」

「発熱したり息苦しかったり……そういうのなかった?」

「………あー、数日前にあったようななかったような。……なんで?」

「最近風邪が流行ってるから」

嘘つき。

そうは思えど『呪いだろ』なんて突っ込めるはずもなく。

六花もそれ以上は深く追求してこないのだからこの話を続ける事も出来ない。

それに今の六花と言えば背後のソルトよりも他に意識がお留守らしく、未だその目はソルトを映さないのだ。

流石にここまで蔑ろにされた事は初めてであまりのそっけなさにはどうしたものかと頬を一掻き。

折角、非番を理由に少しは敵意を控えて接しているというのに、対する六花が今日はいつものように乗ってはくれないのだ。

これ、もう帰った方が良くね?

なんかナンパに失敗したのにしつこく追いかけてる男並の鬱陶しさじゃね?俺。

なんて、流石にこの現状に白旗を上げ逃亡を図ろうかと思い始めた刹那。

「六花りっかぁ!」

「ああっ!?」

不意に呼ばれた自分の本名には立ち去ろうとしていた足を止めて反応してしまったのだ。


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