稲荷と神の縁結び
「何?俺の母親?」

「はい、滋子様でした……」

「何て?」

「庭師の人が帰られたのと……部屋にもこだわれと言われたのと…家具を買うと………ういろう……………」

「ういろう?」

「う、ういろうがー!!!」

全部いただきました……って全部茂子様の胃の中に入ったということか!

「あの高かったういろうが………」

そう落胆してヘナヘナ座り込んでいると、圭ちゃんが「ちかー!!」と大声で叫んだ。


「圭ちゃん……ってこはちゃんお帰り!!」
家からちかが顔を出す。エプロンに三角巾に顔には白いもの…恐らく白玉粉がついている。

「ちか、白玉をこはに出したげて」

「オッケー!さっき一キロ作ったから食べて!」

「一キロも無理ー!」

「何?私の白玉が食えないと?」

「半分で十分!」


そんな私達のやり取りを見ながら、清貴さんは、お腹を抱えて笑っていた。
私とちかはきょとんとしている。そんなお腹を抱えて笑うほどのもんでもないが……


「需要と供給がマッチしてる」

その呟きに、私達三人は少し考えた後‐一斉に「そうなのかも」と呟いた。

その三人揃った様子がおかしいらしく、更に清貴さんはお腹を抱えて笑っていた。
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