偽装夫婦~御曹司のかりそめ妻への独占欲が止まらない~
「なに言ってるんだ。好きだからこれからも関係を続けたいんだろ!」

 そんな自分勝手な言い分が通ると思っているのだろうか。

 いや、思っているからこうやってわたしの気持ちも考えずに、ずけすけと物申しているに違いない。

「じゃあ、わたしはどうなるの。ここでずっと翔太のこと待っているだけの人生なの? 結婚も望めない。子どもだって産めない……そんな人生、わたしが喜ぶとでも思っているわけ?」

「だから、それについてはすまないって――おい、那夕子?」

 わたしは翔太がまだ話を続けているにもかかわらず、立ち上がって寝室のクローゼットに向かった。

 扉を開けて中から大きなボストンバッグを取り出すと、手当たり次第自分の衣類を詰め始めた。

「なにやってるんだよっ!」

 後ろから翔太が乱暴にわたしの腕を掴んだ。

 それを間髪入れずに、振りほどく。

「出て行くの。わたしはあなたの不倫相手になるつもりはないから」

「だから、俺と那夕子の関係は不倫とか言って欲しくない」

 なに馬鹿なことを言っているんだろうか。
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