冷やし中華が始まる頃には
居酒屋にて
ひだまりは春から「こもれび陶芸」を本カリキュラムに組み込んで、毎週水曜に行っていた。

峯岸は、汗を拭きながら釉薬が入ったバケツを車内に運ぶ。
何往復かして、作業室を眺めて忘れ物がないことを確認すると事務室へ向かう。

菅原さんに簡単な挨拶をして階段を下ると、出入り口のところに久しぶりに見る笹崎の姿があった。

「あ、お久しぶりです。」

ジャージを着て、見た目だけはすっかり先生らしくなった笹崎の姿に驚く。

「笹崎さん、どうしたんですか。」
「いや、今夏休み中で午前中研修があったんでその足で寄ってみました。みんな元気かな〜と。」
「そっか、学校は今夏休み中か。事務室に菅原さんいますよ。」
「おっ、じゃあちょっと・・・」

笹崎は手を軽く挙げて、峯岸と別れようとした。
が、ふと思い出すように立ち止まる。

「そういえば、門野さん元気にやってますか。」

笹崎の問いに峯岸は少し固まったあと、静かに口を開いた。

「・・・すみません、俺たち別れたんですよ。」

峯岸の告白に、笹崎はえっと驚く。

「あんなに仲よかったじゃないですか。」

峯岸は答えにくそうに答える。

「そうなんですけどね。・・・ま、はい、別れました。」

峯岸はそこで会話を切ろうとしたが、引っかかるものがあった笹崎が呼び止めた。

「今晩ちょっと飲みません?もし良ければ。」

峯岸はなんとなく責任みたいなものを感じ「いいですね」とだけ答えた。

「あとで連絡します!」

と笹崎が言い、一度その場で別れた。


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