キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 驚きのあまり動くことができない私の耳元に、宙斗くんは口を近づける。

「ここ、ボタン取れかけてっから、つけ直してやる」

「ボ、ボタン?」

 視線を落とすと、私からは見えないが第一ボタンが取れかけているらしい。宙斗くんはぶら下がるボタンに、絡まっていた糸をハサミで切る。

「じっとしてろよ? 危ないから」

 そう言って、宙斗くんはボタンを手際よく縫いつけていく。

「宙斗くんって、こういうのもできるんだ」

 さすがハンドメイド作家さんだなぁ。料理も上手で、手先も器用で、私より女子力が高い。うん、いいお嫁さんになりそうだ。

 感心していると、宙斗くんは「別に」とそっけなく呟く。

「こんなの、誰でもできるだろ」

「ええっ、少なくとも私はできないよ!」

 私は宙斗くんみたいに上手にできない。変なところを縫いつけちゃいそうだし、縫い目も汚いと思う。細々した作業に絶対に向いてない。

「あぁ、不器用そうだもんな」

「うっ……そこは否定しようよ」

 とはいっても、私は容姿も平凡で料理は人並みだし、お裁縫も別に得意じゃない……嘘、お裁縫に関してはからっきしだ。宙斗くんに好かれるところは、なにひとつない。

「ほら、できたぞ」

 糸がパチンっと切れる音が聞こえると、宙斗くんはそっと体を離す。

    

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