キライが好きに変わったら、恋のリボン結んでね。
 女子たちは顔を見合せて図々しくも私と宙斗くんのデートに参入しようとしているみたいだ。それからあれこれ会議をして結論が出たのか、いっせいに私の方を見る。

 ──怖っ!

 集まる視線はまさに、獲物を狙うハイエナのよう。

「日曜日、ふたりがデートしてるところを見せてくれたら信じるよ」

「私たちが偵察にいくから!」

 この人たち、平然と言ってるけど物凄い要求だなぁ……。

 私は唖然としながら、彼女たちを見つめる。

 宙斗くんがデートをしてくれる可能性は限りなく低いけれど、私に拒否権はないのでここは素直に従うしかないだろう。

「でも、宙斗くんにも日曜日の予定を聞かなきゃいけないから……」

「じゃあ、放課後までに返事ちょうだいね」

 言いかけた言葉は、私を囲む女子のひとりに遮られる。

 なんて強引なんだ……。彼女が出来ようと潰えない宙斗くんの人気。さすがはクール王子、偽装彼女としてはかなり迷惑だ。

 女子たちはそれだけ言うと、蜘蛛の子を散らすように自分の席に戻っていく。

「つ、疲れた……」

 くたりと私は机に突っ伏すと、追い打ちをかけるように美代と楓が「まぁ、怪しいわよね」「怪しいよな」と声をそろえて言う。

  私からは女の子が壁になっていて姿が見えなかったけれど、美代と楓は一部始終を自分の席から見ていたらしい。私は少しだけ体を起こして、ジトリとふたりを睨む。

    

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