偽のモテ期にご注意を
『あれ?何か調子悪そう?』

「マスター、置鮎さん何か様子おかしく無い?」

「ん?そう言えば、今日はあまりお酒が進んでいないかな」

少し考えるような顔をした後「よく見てるね」などと、からかう様に笑った。

「う・・」

少し、いやかなり恥ずかしくなり、マスターから視線を外し手元の時計をみると22時を回っていた。

明日も仕事なので、そろそろ帰ろうと思いマスターを探すと、丁度置鮎の所に居た。

「今日はもう帰ったら?」とマスターが言うのを聞いていたら、壁に寄りかかっている置鮎の姿が。

その姿に慌てて近づき声をかける。

「大丈夫ですか?」

「大丈夫です」

僅かに目を開けてこちらを見るが、熱があるようで、上気した肌に潤んだ瞳で少し焦点が合っていないようにも思える。

「誰か迎えに来て貰ったら?」

「一人で帰れます」

「病院に行った方が・・」

「大丈夫・・」

マスターと二人色々提案するが、大丈夫の一点張りで話が進まないので、マスターにタクシーを呼んで貰った。

自宅の住所が言えるうちにと、タクシーが到着する前に住所を聞きだし、着いたタクシーに乗せるが意識が朦朧としていて心配になる。

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