偽のモテ期にご注意を
「おき・・鮎さん?」
「難しい顔をしているのでどうしたのかと」
先ほどまで本を読んでいた筈だが、いつの間にか本は閉じてテーブルの上にあった。
「あ・・ううん、なんでも。ちょっと昔の事を思い出してて」
「昔の事?」
「歴代の彼氏に仕事ばっかりしてるって言われたの思い出して、全然成長して無い・・んぅ」
「圭奈の良さが分からない、馬鹿な男の事を考えないで」
「おき・・あゅ・・・さ」
急に表情の消えた置鮎に、キスをされ驚いているうちに蕩かされて行く。
まだ、午前中だというのに、リビングで情事に耽ってしまう。
気付けば狭いソファーに2人身を寄せ合って眠っていた。
『居心地良すぎる。嫉妬みたいな言葉・・使わないで。勘違いしちゃうから』
寝顔を見つめていると、涙が出て来て、嗚咽が漏れないように手で塞ぐ。
幸せと苦しさ両方が渦巻く心を静めるのに時間がかかった。