ただずっと、君が好き
弱いのも、臆病なのも、ずっと前から知っていた。
でも、ここまで恐怖を覚えたのは初めてだった。


天形と話せなくて、ものすごくつらかった。
天形に無関心でいられるのも、寂しかった。
忘れられてるんじゃないかって、勝手に思っては落ち込んでた。


でも、そのほうがまだマシだった。


今は、天形に嫌いだと言われてしまうような気がして、怖い。


『嫌い』が、一番嫌だ。
それなのに、今、それを言われそうなんだ。


「……厳しいこと言うけどさ。先延ばしにしても結果は変わらないんじゃない?」
「私が嫌いって言われる結果?」


聖が悪いわけじゃないのに、まるで喧嘩でも売っているかのような口調になってしまった。
あんなことがあっても変わらないでいてくれる聖に、こんな態度を取ってしまう自分が嫌いだ。


天形に、好かれるわけない。


「いや、天形の話の内容なんて、俺が知るかよ」


たしかに、それもそうか。
さっき一緒にいるように見えたけど、二人がそんな話をするくらい仲が良かった記憶はない。


それにしても、聖はどこかすっきりしたような顔をしている。
天形の話題なのに……


「……俺の顔になんかついてる?」


じっと聖の顔を見つめていたらしく、これ以上見てくるなと言わんばかりに、顔面を手で覆われた。
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