ただずっと、君が好き
「でも、いくら天形のことを忘れたくても、他人の好意を利用するような子じゃないじゃん、ひなたは。どうせ自分で言ったんでしょ。つらいなら利用しろって」


まるで見て来たかのように言う。
図星で、目をそらすしかなかった。


「本当に利用されてるってわかって、ショック受けてるとか……バカ?」


返す言葉もないけど、もう少し柔らかく言ってくれてもいいと思う。


すぐに辛辣な言葉が戻ってきて、俺のメンタルはズタズタにされた。


「……喜ばないのかよ」
「は?」
「睨むなよ……」


ひなたに出会うたび、家族になる覚悟はできたかって言っていたくらいだから、てっきりよくやった、くらいは言うかと思ってたのに。


「私はただ、ひなたに幸せになってほしいだけ。ひなたに、本当に好きな人と結ばれてほしいだけ。つまり。ひなたが自分から、聖を選ばなきゃ意味がないの。無理やりとか、本当バカ」


まるで俺が間違ってるとでも言いたいようだ。
いや、そう言っているか。


たしかに、無理やりはよくなかった。


すると、夏希は大きなため息をついた。


「で?どうしたいの」
「ひなたに笑っててほしい。できるなら、俺の隣で笑っててほしい。俺が幸せにしてやりたい」


思っていることをそのまま言うと、夏希は抱きかかえていたクッションをさらにしっかりと抱えた。
俺を軽蔑するかのような目で見てくる。
< 69 / 156 >

この作品をシェア

pagetop