ただずっと、君が好き
どんどん息苦しくなって、癖で聖に助けを求めようとした。


聖はなぜか勝ち誇ったような表情を浮かべている。
そして私の後ろに回り、顎を頭に乗せてきた。


「なるほどな。要は俺が羨ましいんだろ。可愛い女子と話せてるから」


挑発的な言葉に、大ブーイング。


「ふざけんなー!」
「羨ましくなんかねーし!」
「なんでイケメンばっかなんだー!」


……心の叫びをそのまま口に出してる人もいる。


私は視線だけ上に向けた。


「聖、なんでこんなこと」
「少しでも話題そらしときたいだろ。こういうときは真実なんていらないんだよ。いかにその話題を忘れさせることができるかなんだから」


それもまた違うような気がするけど、いつもの聖に戻ったみたいでよかった。


私たち、このまま幼なじみに……なんて、それはさすがに欲張りか。


「それで?なんでひなたは泣いてたの」


本当の理由を話すべき相手がいたことを、少し忘れていた。
沙奈ちゃんに聞かれて、聖は私から離れた。


沙奈ちゃんは怒っているみたいで、思いっきり聖を睨んでいる。
どうやら、聖が私を泣かせたと思っているらしい。


「恋人を……やめただけ」


聖が言っていたように、恋人ごっことは言えなかった。
たしかに普通の恋人じゃなかったけど、遊び気分で聖と付き合おうとは思ってなかったから。


だけど、恋人になった理由を考えると、恋人ごっこだったのかもしれない。


「……そっか」


そして沙奈ちゃんは私の頭を撫でた。


「つらかったね。よく頑張った」
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