いつか君を振り向かせられたなら
「どうした?大丈夫か?」




「・・・・・がお」




「ん?」





「え、笑顔…」





「・・・?」






思わずそう口に出してしまったが矢野はよく聞き取れなかったらしく首を傾げる








「どした?なんつった?」








「いや!なんでもない!大丈夫!」






「そーか。大丈夫か。よかった」





安心したようにほっとして微笑む矢野にまた心を奪われる




なんだこの笑顔のオンパレードは!




矢野が一年間で教室の中で見せる笑顔よりもこの屋上で見せた笑顔のほうが多いんじゃないかとも思ってしまう





「んじゃ、俺帰るわ。なんか邪魔して悪かったな」





最後にまた明日といってくるっと振り向きヒラっと手を振って矢野は屋上から出て行った





ドアが閉まった途端に私は膝からガクンと崩れ落ちた





制御の利かなくなった胸を押さえて矢野が出て行ったドアを日が暮れるまで眺めていた
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