さよなら、センセイ
そう言いながら、ヒロはスーツのポケットから、何かを取り出した。

「笑顔でメグを送り出したいから。

だから、メグ、俺のものになって。

卒業したら、結婚してほしい。

入籍して、“丹下恵”として、新しい学校に赴任してほしい。離れていても一緒だと、俺を安心させて。
大学出て落ち着いたら絶対に迎えに行くから。そしたら、盛大に結婚式やって、一緒に暮らそう」


思いもかけない、プロポーズ。
ヒロの手には、キラキラ光る指輪まで。

恵の頭は真っ白になった。
ヒロはまだ若い。結婚は、考えないようにしていた。


だから、嬉しさとためらいに戸惑う。


『ホントに欲しいものがあるなら、しっかり掴んどかなきゃ。それくらいのワガママはいいのよ』

先程、ジュンに言われた言葉が背中を押してくれる。


自分の気持ちに正直になれば、答えは一つしかない。

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