さよなら、センセイ
「そういえば、ねぇ、めぐみ先生、新しい学校行ったらさ、カレシどうするの?やっぱり遠距離で頑張るの?」

恵の周りが空いてきた頃を狙って綺羅が尋ねてくる。

「…まぁね」

「うわ、先生、頑張って」

綺羅に笑って恵はうなづいた。


「おい、丹下、大学行ったらさ、合コンやろうぜ。慶長大の女の子、いっぱい連れて来てくれよぉ」

一方、ヒロも女の子の波が去ると今度は同性に囲まれた。

「大学行ったら女の子が寄って来るかわかんねぇよ。全国レベルだろ?」

「お前なら大丈夫!顔だけじゃなく、“丹下”ブランド付きだから」

「そんなブランド、大したことねぇと思うぜ。何しろ、慶長大には、一条先輩がいるし」

同級生の言葉を笑い飛ばす。
そしてヒロは綺羅と恵に気づいて歩み寄る。

「あ、ヒロ。めぐみ先生に挨拶しな。先生、遠くの学校に行っちゃうんだよ」

綺羅はヒロをつかまえて、ぐいっと恵の前につきだした。
ヒロは、コホンと小さくセキをしてから背筋を伸ばして恵を見た。


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