アイネクライネ
きっとあたしのせいなのだろう。

あなたの幸せは長くは続かなかった。
奥さんが病気になってしまったのだった。

移植手術をしなければ治らない病気。

居場所をなくしてさまようようにいるあなた

そんな日々が続くくらいなら誰かが変わりになればいいのになんて

「まって...。もう少しでいいからそばにいてくれ。」

そんなこと言ってくれるあなたの言葉が嬉しくてこんな日々が続けばいいなんて思ってしまう。

ささやかで確かな見ないふりだ。あなたとまた、笑い合えることが嬉しいなんて思っては
いけないのに。

罰が当たったんだ。
そんなことを思うから
時間が迫るたび祈っても誓っても惨憺たる夢を見る。小さな歪が、あたしがそばに居ることであなたを呑んでなくしてしまうような、、、

あなたが思うよりもずっとあたしは不甲斐ないのにどうして。どうして...どうして!

そばにいてなんていうの。

手を伸ばせばとってくれる手。暖かく包み込んでくれる大きな手その手を何度にぎり返すことで救われてきたのだろう...。
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