夜をこえて朝を想う
エピローグ

side S

あの温泉に行ってから、湊との距離が少し近づいたように感じた。

家も、職場も遠くなって

もうあのコンビニに行っても湊はいないけれど…

たまに、スムージーを飲みながら歩いている。眼鏡のイケメンは見かけたりする。

目が合うと、舌を出したり

顔の横でVサインを出したり。

とてもじゃないが、本職が会社員だとは思えない。

でも、妙に、和む。

「部長、まだ結婚しないんですかぁ?ひょっとして、振られたとかぁ?…気晴らしに、付き合いますよーぅ。」

追っ払っても追っ払っても、このテのタイプが入社してくる謎。

「すこぶる、順調だ。」

「本当ですか?どんな人ー?本当にいるのー?実在の人物?」

何だ、実在って。

「内側から、美人。」

それだけ言って去った。

こいつらが、帰る時間に湊待たせとこうか。

ま、止めとこう。見せるのも惜しい。

今日も、SNSをチェックする

湊の。

彼女が仕事で任されてる部分だ。会社アカウント。

綺麗だな…

色彩感覚とでもいうのか…

まぁ、時々写り込む“LEON”が気になっているのも、確か。

湊が担当してる記事は湊の顔のアイコン。

この小さな円の中にいる湊すら、愛しい。

癒し…だな。

だけど、不特定多数が見るSNSに顔を出す…

大丈夫か。それにしても、可愛い。

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