夜をこえて朝を想う
「何だよ、物凄い癖でもあんの?」

「仕事は、出来るのでその点でご迷惑をおかけする事は…ただ…まあ、会ったら分かって頂けると思います。」

そう言って、意味深な笑いを浮かべた。

何だ?まぁ、楽しみにしておくか。

次の週

「一緒に担当させて頂く中条です。」

吉良君がそう言うと

綺麗な所作で名刺を差し出す。

なるほど…

これは…

ほんの少し口角を上げたくらいの笑顔。

だけど…物凄い綺麗な人だ。

吉良君と並ぶと…圧巻だな。

タレント起用止めて、CMに使いたい程だ。

「はは、吉良君が来たら女性がそわそわしてたんだけど、今度は男性が…じっとしてないだろうなぁ。」

そう言った俺に、彼女は一礼しただけだった。

…うーん…なるほどね。

だけど、もちろん、仕事には問題なく

誠実に対処する。

ま、あんまり他の社員に晒さないほうがいいな。

そう思って、商談ルームにて過ごした。

吉良君が、他へのフォローへ回ってくれた。

本当、綺麗だな。

先輩と言っていたから、吉良君よりは年上なのだろう。

俺より…下?上?

落ち着いた雰囲気に、醸し出される色気。

年齢不詳。歳なんて取ないんじゃないかと思う程。

「暫くは、吉良と共に来ます。ご指導頂けたらと思いますので、宜しくお願い致します。」

最後に少し微笑んで、彼女は商談ルームから出ていった。

…美人ってのはいいねー。

吉良君といい。

人を魅了する。

また1つ楽しみが増えたかもしれない。

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