Love-ing(アイエヌジー)
どうやら少しずつ、落ち着きを取り戻しつつあるようだ。
私は藤井さんを見たまま――藤井さんはいつの間にか私の向かいに座っていた――さりげなく、顔の前面にたれている前髪を触った。

・・・よし。痣は隠れてる。でも全部は隠しきれないから、そのうちすぐ、藤井さんに痣のことを聞かれて・・・。

密かにため息をついた私に、藤井さんは「かわいいーっ!」とはしゃいだ声を上げた。

「・・・え?」
「“みあ”って名前!すっごいかわいい!」
「そ・・そぅ、かな」
「うんっ。ぜーったい、私のよりかわいいって!私、自分の名前嫌いなんだぁ。“えつ”ってなんか古くさくてぇ、ババくない?」
「えぇ?そんなことない。“えつ”って、言いやすくて可愛いと思う・・よ?」
「そーお?」
「うん」
「だったらこれからは、私のこと“えっちゃん”って呼んでね」
「う・・ん」

「仲良くしよ!」
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