いつか、眠りにつく日2
私は、私の名前を知らない。

人は誰かに呼ばれないと、自分の名前すら忘れてしまうらしい。

もう、あれから何日が過ぎたのだろう?

うずくまる体には黒い糸が幾重にも重なり、私をこの地に縛りつけている。

地縛霊になるくらいなら早く逝かせて。

会いたい人たちの顔もぼやけ、その輪郭すらも思い出せなくなった。

「忘れたくないよ……」

そう思うそばから記憶がすり抜けていくようで、ただ怖かった。


誰もいないこの場所で、私は今日もひとりぼっちで震えている。



――いつか、眠りにつく日だけを願って。


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