仮眠室で愛を叫べば

おまけ

「おい、医局にこい」

青い顔をして、ふらふらと岡本さんの病室から姿をあらわした宮前先生を服部先生は呼び止めた。

宮前先生から岡本さんとのやりとりをきき、先生はニヤリと笑い私に指示をだした。

「高橋、今夜岡本さんを仮眠室に連れていけ」

あらかじめ中で待機していた宮前先生が岡本さんにプロポーズした。

仮眠室の神様はやっぱり偉大だ!

手を会わせて拝んでいると

「何やってんだお前。」

と隣であきれていた。

「いっとくが俺はこの中でプロポーズはしないからな!」

「えっ?プロポーズは先生の家できいてますよ?」

「あれは!してるけどまだだ!
指輪…まだだろ…」

 そっと手を繋いできた先生は少し照れて赤くなっていた。

「じゃあ、指輪は仮眠室でお願いします!」


「 いやだっていっただろ!」

「じゃあ、結婚しません」

「……」

不貞腐れた先生が可愛くて繋がれた手をぎゅっとにぎる。

「いつか先生のお嫁さんにしてくださいね。」

「頼まれなくても俺の嫁だ。
楽しみに待っとけ」


たぶんそれも遠くない未来だろう。
仮眠室の神様、私のお願い叶えてくれてありがとう。

仮眠室の伝説がまたひとつ増えて、翌日私は師長にばれて怒られ、服部先生は知らんぷりして笑っていた。

< 96 / 96 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:21

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
「沖田先生、好きです! 私と結婚を前提に付き合って下さい!!お願いします!」 「はぁ!? お前ふざけてるのか?なんで俺がお前と結婚するんだよ!それ以前に付き合うことも当然却下だ!!いいか、俺に近づくな!付きまとうな!視界にはいるな!」 本多真琴 29歳 晒名総合病院栄養士&調理師      ××× 沖田直紀 32歳  晒名総合病院外科医 病院でも有名な無愛想で能面みたいな男に恋をしている。この人は絶対に私の運命の人!! 押しに押しまくっていたある日、ひょんなことから偽の恋人に!? このチャンス逃すわけにはいきません!この恋必ず成就させて頂きます!!
愛しの Silver Fox 様

総文字数/6,440

ファンタジー20ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
数百年に一度、多々羅ヶ峰神社を継ぐ家系には、身体にお狐様の足跡のアザがある娘が生まれる。 そのアザは、神社に奉られているお狐様に嫁入りする証。 そんな古くからある言い伝え…。 迷信だと思っていた…。 山の中の小さな古びた祠の前で私は彼に出逢った。 銀狐の〈珀〉。 彼に見いられてアザがつけられた。 珀の嫁となる証を…
表紙を見る 表紙を閉じる
道を聞かれたり、頼まれごとをされたり、昔からよく知らない人から声をかけられた。 お人好しで嫌と言えない性格をいまほど後悔したことはない。 小谷朋葉(こたにともは)28歳 庭師      ×          迫田大知(さこたたいち)33歳 株式会社SAkOTAリゾート副社長 「お見合いの時だけ恋人のふりをする約束でしたよね?」 「…そのつもりだったんだか…。 状況が変わった。このまま俺と結婚して妻のふりをしてくれ!」 「はぁ!?何言ってるの!?そんなことできるわけないでしょ!」 子供のころからおとぎ話のような素敵な恋愛を夢見てきた。幸せになれる魔法の言葉。 “ビビディ.バビディ.ブー!” 偶然出会った彼の恋人役から始まった私達の関係。 はじめは自分勝手で無愛想なこの人が大嫌いだったけれどいつの間にか私の心はあなたでいっぱいになっていた。 ねぇ誰か…彼と釣り合うように、隣に並ぶ勇気がもてる魔法を私にかけて下さい…。 "ビビディ.バビディ.ブー!  私のことを好きになーれ"

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop