お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「そうだ。そこに、着替えがあるだろう。自由に使ってくれ」

突然部屋をノックしてきた彼に驚いて、私はぴくんと肩を跳ね上げた。

「着替えって……このワンピースのことですか?」

「部屋着に使える楽な服をって、頼んでおいたんだ」

確かに、ふんわりと裾の広がるワンピースは、ウエストに締めつけがなく、ゆったりとしていて着心地がよさそうだ。

でも、艶やかなシルク素材で仕立てられたワンピースを部屋着に使えだなんて、贅沢極まりない。どう見てもこれはパーティードレスの部類だよ。

「……もったいなくて、着れません」

「だったらなにも着ていなくても、俺はかまわないけれど」

「……お借りします」

抵抗を感じながらも、彼の勧めに従って、最高級の肌触りをしたローズピンクのドレスに袖を通した。

膝丈の裾が歩くたびに艶やかに揺れて、なんとも美しい。

まるでこれから、本物のデートが始まるみたいで、ドキドキした。

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