お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「……実際には、お父さまは、事件にほとんど絡んでいなかったそうなのですが……」

「無関係ってわけにはいかないだろう。任命責任だってあるしな」

「でも、関係者の間では、柊一朗さんが父親とその幹部を蹴落としたみたいな扱いになっているそうなんです。柊一朗さんは、決してそんなことがしたかったわけでは――」

「そういう体裁でも取らなきゃ、千堂自身が社長に就任することなんて出来なかったんだろう。親の代で問題を起こせば、子どもだって影響を受ける。それを避けるために、父親はわざと自分が悪者になって、批判を一心に受けたんだ。ベストな形で息子にバトンを渡せた。親としては本望だろう」

「それは、そうでしょうけれど……」

大団円にはならなかった。しかも、二年前の事件に関して、訴える側についていた私は、まるでお父さまを失脚させる手助けをしてしまったようで。

「私のせいで、こうなったのかもしれないと思うと」

「ばーか。誰もそんなこと思ってねーよ」

いつもであれば、ぼすん、と頭の上に手が降ってきそうなものだが、今日に限っては、両手に段ボールを抱えていたせいで、そんなことはなかった。
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